2022/09/28

松永千賀子の一般質問

9月27日に一般質問を行いました。

3項目、「一括1問1答制」で行いました。(3項目の1問目を一括で行い、市長が答弁、2問目以    降は各項目ごと1問1答制で、局長等が答弁する。時間は質問時間だけで20分です。

会派内の残時間内は質問に使える)


 まず、自衛官等の募集に関して

1問目

日本共産党の松永千賀子です。

本日27日は、安倍元首相の国葬が行われ、本庁舎では、半旗が掲揚されています。憲法19条に反し、法的根拠もなく、国会決議もなく多額の税金が投入される等、国民の圧倒的多数の反対の声を無視して強行されたことに強く抗議します。岸田政権になっても、他にも様々な点で地方自治体への国の圧力が高まっているように思います。

自衛官及び自衛官候補生募集に関しても、同じ流れの一つと思われます。

始めに、自衛官等募集の名簿提出についてです。         

これまで、本市は自衛官募集に関しては、多くの自治体と同様、自衛隊が住民基本台帳を「閲覧」し、自衛隊が書き取りをするという形で進めてきましたが、今年度からは、市が、市内の18歳の若者約6000人の個人情報を「宛名シール」という紙媒体で自衛隊に提供するという、より積極的な協力へと変更しています。  宛名シール提供に変更した理由、庁内での意思決定経過について伺います。

次に、自衛隊への情報提供に対する見解及び法的根拠についてです。

自衛隊への情報提供は、自衛隊法第97条及び同施行令第120条に基づくものとしていますが、条文では、「防衛大臣は地方自治体に協力を求めることができる」と定めたもので、市町村側が応じる法律上の義務はないとされています。

今回の変更にあたっての法的根拠についての見解を伺います。

    

     次に、法律や条例との関係で、まず、住民基本台帳法との関係につい てです。

住基法第11条では、市町村長に対し、個人情報保護管理についての厳格な責務を規定しています。

平成18年の住基法の改正で、個人情報保護に十分留意した閲覧制度として、住基法が再構築された経過から、法解釈の上では、法律違反ではないかと声が学者や研究者、弁護士から挙げられていますが、今回、個人情報提供が可能と考える、根拠について伺います。

 

次に相模原市個人保護条例第9条(保有個人情報の利用及び提供の制限)との関係についてです。

自衛官募集に関する情報を住民基本台帳から抽出し、提供することは個人情報保護の目的外の利用・提供になりますが、第9条の保有個人情報の利用及び制限の条項との関係では、どう整理しているのか、伺います。

 

憲法第13条では、「全て国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り立法その他の上で、最大の尊重を必要とする」とうたわれています。

個人情報の保護は、個人の尊重につながるもので、憲法が保護する基本的人権を尊重する基本姿勢をもって、行政運営をするのかどうか、につながる問題です。

そうした観点に立った時、自衛隊への個人情報提出は「プライバシー権」の侵害ではないのか、見解を伺います。

 

また、条例の92の個人情報提供について、本人の意思確認はどのように行っているのか、見解と現行の取り組みについて、伺います。

 

この項目の最後に、相模原市情報公開・個人情報保護・公文書審議会の審議結果についてです。

 

審議会は1回で決論が付かず、異例の継続審議を行い、最終的に、宛名シールの提供をすることに決着しました。この変更について、会長は「むしろ全体の公共の利益の観点からすれば望ましいと思う。」と述べています。

しかし、自衛隊のリクルートに便宜を図ることが憲法で保障された個人情報の開示「プライバシー権」を抑制するほどの「公共の利益」があるのかどうか?という点について疑義があります。答申を受け、最終的には市長判断となりますが、見解を伺います

 

2問目以降

自衛官募集に関して、です。

憲法第13条(個人の尊重)との関係で個人情報を国、自衛隊に提供することは、法的根拠の上の問題、法治国家としての内実が問われ、民主主義の問題でも問われるべき点です。

この問題で、最も重要なことは、憲法の個人の尊重と個人情報提供をどうとらえるか、です。若者の命や将来にかかわることだからです。改めて伺います。

長は、「自分の情報を事前に取り除くことを希望することができる『除外対応』について、市ホームページで案内しているので、プライバシーに配慮しているものと考えている」とのご答弁ですが、

「除外対応」制度の周知がどの程度徹底しているかです。知っていてこそ、市に希望することができますが、これまでどの位の方が「除外対応」を要求してきたか、実績を伺います。

この数字は、周知徹底されたものとはとらえにくいもので、プライバシーに配慮している、といえるレベルではないと考えます。

 

個人情報の目的外使用については、例えば、災害対策基本法49条では、避難行動要支援者名簿の提供に関して規定されていますが取り扱いについてお示しください。


災害時避難に関する法律でも、法的根拠が明確に位置付けられ、個人情報を提供するにあたっては本人同意を必要とすることを厳しく規定しているということをみても、自衛隊への募集に関する個人情報保護がいかに不完全であるかを示しています。

 

国と地方自治体の、この間の経過ですが、

令和3年2月の防衛省と総務省の連名の依頼文章では「技術的助言である」とわざわざ、述べています。

依頼であって、法的義務としていない、ということです。

 

ところが、令和4121日の防衛大臣の依頼通知は、長文になっていて、「紙媒体、電子媒体での提供をお願いしたい」と方法まで指定しています。

そして、10日後の131日の自衛隊神奈川地方協力本部長名での通知でも、重ねて紙媒体、電子媒体での提出を要求し、「提供できない場合は、書面にて225日までに回答すること」と指示しています。

この日程的流れや文書の内容推移を見ても、国の強圧的な指示文書として自治体に降りてきています。短期間で、国や県が急変しています。

 

最後の質問ですが

そもそも、個人情報を提供する法的義務があるのか、ないのかについてです。

弁護士や学識経験者等で法的義務はない、違憲、違法である、と主張している方もおられます。本市の審議会会長も会議の中で、「当該個人情報を提供する義務が法律によって明確に定められているわけではない」と認識を述べています。 自衛隊の閲覧はこれまでも行ってきたもので、変更が生じたものではないとしていますが、これまでの閲覧と本市からの紙媒体の提供では、明らかに違いがあると考えます。

 

 最も肝心な基本姿勢の問題ですので、市としての見解をあらためて伺います。

  危険な世界の軍事情勢や、日本の軍事費拡大路線や集団的自衛権、敵基地攻撃などの動きから、日本の若者が戦場にいくことになるのではないか、その時、行政機構の末端として、戦前のようにまた再び、こうした自衛官等募集業務が地方行政に、法令解釈権も飛び越えて実施されるのではないか、不安と危機感を覚えます。

 市長におかれましては、日本が再び戦争をしない国であるために、相模原の若者が戦場に派遣されることがないように、憲法が謳う個人の尊重の考えに立って、市民の代表として、政府にしっかりと声を上げていただきますよう、真の平和と市民のいのちを守る先頭にたっていただくことを、強く要望いたしまして、

私の一般質問を終わります。  

    

 (とう