本日議会最終日、国民健康保険条例条例の改正議案のについて、税率引き上げに関しては賛成できない、反対であるとの日本共産党市議団を代表して、討論を行いました。
討論全文は以下の通りです。
長文ですが紹介します。
本会議の録画は後日議会HPでご覧になることができます。
国保税引き上げ 反対討論
日本共産党市議団を代表して、議案第20号 相模原市国民健康保険条例の一部を改正する条例について、反対する立場で討論をおこないます。
今回の条例改正は、未就学児の均等割を減額する国の改定に合わせ、本市が独自に上乗せして対象年齢を18歳以下までに拡大する内容と、国民健康保険税率の引き上げに関するものです。
世帯構成員一人ひとりに一律に課税される均等割は、世帯の人数が多ければ多いほど税額が高くなる制度で、赤ちゃんにまで課税されるという点等、人頭税に他ならず、国保加入世帯の子育て世代にとって、過酷な制度です。
日本共産党議員団として、子どもの均等割の廃止を繰り返し求めてきたことであり、市独自に18歳以下までの減額を実施されることについては、市の努力の結果と、評価するものですが、一方、国民健康保険税率の引き上げについては、様々な理由で賛成することはできません。
以下理由を申し上げます。
先ず、はじめに、被保険者の現状の点からです。
市は、税率引き上げを検討するにあたって、国保加入世帯の所得や生活の実態をどう認識されたのでしょうか。
コロナ禍が長期化し、市民の経済的環境が一層悪化していています。
現在でもガソリン、食料品、生活必需品等、物価が上昇している中、世界的規模の自然災害や国内での連続する自然災害、ウクライナ情勢など、今後さらに被保険者の生活全般への影響が厳しさを増し、格差の拡大が想定されます。
非保険者の生活の実態認識と税率引き上げの影響を、国内外の経済状況の変化、市中の状況などをどう判断し、影響をどうといらえられたのか、問われてきます。
国保税率見直しに関する1月13日、14日の戦略会議の会議録を見ると、当初平均6%引き上げとしていたものを、市長はじめ率直な議論が交わされています。
この戦略会議で、幹部の中でも様々な意見が出されています。
「対象者の生活維持を考えた場合、既に国保税を上げる状況にはない」とか、実務を担当する幹部は「原則的に決算補填等を目的とした法定外繰り入れは回避したいと考えている。ただし、経済状況の急変など、今後の状況により判断が必要となる可能性はある。」と述べておられます。
6%を5%内に収めるための緊張感を持った議論が交わされたようです。
より低い税率になるよう市長も意見を出されておられますが、結果的には、平均5%の税率引き上げ提案となっています。
数値が5%に下がったように見えますが、5%という数字は、あくまで平均化数字であり、9%近くの税率になる層もあり、また、均等割減額は18歳以下の子どものいない前期高齢者には影響はありません。
コロナの影響、物価高の影響がもろに痛手となる、生活保護水準、ボーダーライン層の被保険者の状況をとらえたとき、また現行税率でも高い割合で滞納が生じている点からも、この局面での税率改定は賛同できません。
反対する理由の第二に税率の引き上げの影響の点からです
令和2年度の本市の実態を見ていきますと、国保加入世帯は10歳代から100歳以上まで11万6758世帯で、50歳代が約40%、60歳代以上が約60%です。
滞納状況の分布からみていくと、滞納世帯全1万4363世帯中、50歳代の稼働年齢層の滞納が81%、60歳代以上は、 約19%となっています。稼働年齢層で滞納が極めて高いことがわかります。
滞納率の最も高いのは、20歳代で、約36%が滞納していて、次に高いのが30歳代で26%、10歳代が24% となっています。
10歳代から30歳代の世帯が滞納せざる得ない状況は、制度として異常ではないでしょうか。いかに高すぎるか、を示しています。
何故、滞納となるのか、どのように調査、分析されているのでしょうか。
所得階層別でみると、現年度未納が最も多いのは、所得33万円から200万未満で、次に200万円から400万円世帯です。
33万円未満から400万未満までの所得層で滞納世帯の80%を占めています。
この所得層は生活保護基準以下の所得の中で生活している世帯もあると考えられます。
加入世帯の半数が、7,5,2割の法定減免を受けているとのことですが、法定減免を受けてなお、滞納せざるを得ない生活困窮の実態があると思われます。
この現状にあるところに、税率を上げるという判断をされたことになります。
税率引きあげでの試算を市はモデルケースとして示しています。
所得43万以下から400万円世帯のモデルケースの改定による影響を見てみますと、単身世帯も40歳から64歳までの夫婦2人世帯では、すべての所得層で増額になっています。
このモデルで最も高い改定の伸び率は9,2%、41,800円も一気に上がります。
子育て世帯では、本市の独自の減額を受けても最高上げ幅が5,2%、25,200円の引き上げとなります。
この世代に対し、頑張って払っている人との公平性の点からとして、滞納、差し押さえ等の徴収強化の方向は、低所得の若者世代、子育て世帯の支援の拡充という市の方向性とも逆行すると考えるものです。
理由の第三は、市税の財政状況の点からです。
令和2年度決算でも、3年度決算見込みでも、市の歳入歳出は黒字に転化しています。財政調整基金は、今年度末147億円、新年度末158億円と上昇しています。
臨時交付金 15億円も残されています。
市は、20年後の未来のためにと、財政危機を強調し、緊縮財政をすすめようとしていますが,今現在の困窮、苦しみ不安を少しでも支えること、今こそ求められています。
命や健康を保証することは生存権、幸福追求権の点で、自治体の重要な責務です。いま生きる市民のために、市民の税金をきちんと生かすことが求められている時です。
財政運営での努力をもとめるものです。
最後に、制度の構造的欠陥、根本的課題についてです。
国民皆保険制度の根幹をなす、国民健康保険制度は、構造的に欠陥をもっていると言わざるを得ない制度です。
国の負担割合を減らして、自治体と被保険者の負担割合を増やしてきた結果ともいえます。低所得層が多く、医療費が高くなる高齢者の割合が高く、収支の点で構造的課題をもっています。
大企業の内部留保を膨らまし続け、軍事費を増加する国政のもとで、社会保障の自然増を削減されています。国保制度の根本的改革が必要と考えます。
全自治体からも声が上がっていますが、一層強く、本市からも改善の声をあげていくことを求めます。
以上の考え方に立って、今回提案されている国民健康保険税の引き上げについては、反対を表明いたしま