2021/10/01

2020年度 相模原市歳入歳出決算 反対討論

 9月30日、9月定例会最終日

日本共産党市議団を代表して、2020年度一般会計、国保特別会計、麻溝台・新磯野区画整理事業特別会計決算に関する反対討論を行いました。


日本共産党市議団を代表して 議案第68号 令和2年度相模原市一般会計歳入歳出決算、議案第69号 国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算 議案第74号 麻溝台・新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計歳入歳出決算を認定することに、反対の立場から討論を行います。

 

今回の決算評価にあたっては、「相模原市行財政構造改革プラン」(以下改革プランという)の方針に基づき、行財政運営されている経過からも、切り離して評価することはできませんので、改革プランの評価とも関連して見ていきます。

 

改革プラン(案)は、令和元年4月の市長選挙後の9月末時点で試算数字が示されました。令和2年度から9年度までの8年間の歳入・歳出の収支は768億円の赤字という、衝撃的な数字sでした。

11月からは市長を本部長とする行財政構造改革本部会議が開催され、令和元年度中に9回開催されています。

そして、11月の予算編成方針で市長は、「令和2年度予算として編成した枠配分経費についても、全て一度ゼロベースとし、改めて改革プランに即した予算編成を行う」と表明しました。

 改革プランの60億円の赤字という結果に即して、令和2年度予算編成を行ったということです。

改革プランの試算数字は、その後毎年のように、数字が変動していますが、影響を持つ大きな事業費が算定されていない点など、予算編成の議論の土台としてもふさわしいとは思えません。

 

令和2年度の60億円の赤字のうちの麻溝台・新磯野の区画整理事業の地下埋設物の想定処理費用25億円は、議会での議論も踏まえ、先送りとし、歳出に計上しないとする修正が行われ、その他の事業の調整を行ったうえで、当初予算歳入歳出収支はゼロとして令和2年度をスタートしています。

改革プランの数字が当初予算編成を大きく規定しましたが

、プランの見込みが違うことが大きな特徴です。

 

令和2年度のもう一つの特徴は、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が2回発出された年度だったということです。

1回目は4月7日から49日間、2回目は21年1月8日から73日間で、合計122日の宣言下での市民生活、地域経済であり、いのちやくらし、営業への大きな影響が発生した1年間でした。

災害級のコロナ感染拡大は、自助・共助で、支え合えるレベルを超えて、いかに公助が大きな役割と責任があるかを認識させられることになりました。

 

新型コロナウイルス感染拡大の防止と対応のため、国・県の事業を迅速に実行するため15回の補正予算も組んで、市長はじめ、職員の皆様が一丸となって、市民生活のひっ迫と地域経済の疲弊に対応いただいた点は評価と敬意を表するものです。

国、県の対応策に、当然市として、責任を持って、全力をあげていただいてきたと思いますが、しかしながら、決算結果を見ると、市が独自事業、独自財源を活用して、市民を支える、寄り添った対応がなされただろうか、という視点から見たとき、不十分であったと思わざるをえません。

それは、独自事業はほぼゼロであり、コロナ禍での事業の中止や縮小結果も加わり、過去最高額の実質収支額、黒字となったことからも、市民の苦境の時こそ、市民のために、税金を使う、生かす姿勢が見えなかったと言わざるをえません。100億円の黒字はその一部を市として市民にために使うことは可能であったのではないか、何故そのことができなかったのか、理解できません。

 

 決算における剰余金をもっと目の前で苦境にたたされている市民に独自事業として支援してほしいとの議会からの質問、要望に対し、市長のご答弁では、「今後税収減等を見据え、その財源として、適切に確保してまいりたいと考えている」とのことで、災害級と認識しておられる、非常事態の今、適切に独自財源をも活用した事業をほぼ実施していないことは期待に反することであり、

市民に最も身近な行政としての姿勢に疑問を感じざるをえません。

 

先ず、令和2年度市営運営に直接影響を与えた「改革プラン」が何故こんなに乖離が生じるのでしょうか。改革プランの数字が予算編成と直結していきますから、この点をみていく必要があります。

 

プランの経過を見ていきますと、

 

令和元年9月の時点の第1回目試算では、行財政構造改革プランの計画期間は令和2年度から9年度までの8年間で、赤字合計は768億円でした。

令和2年10月時点の第2回目試算では、3年度年から9年度までの7年間で、赤字合計は816億円と1年前より増加しました。

3年度当初予算後の第3回目試算では、改革の取り組みで354億円改善された場合として見込んだ数字が示され、赤字合計は462億円と圧縮されました。

 

 市長は816億円の赤字解消が改革プランの目的だ、と明確に答弁されておりましたので、今後さらに、毎年赤字と想定されていた数字の圧縮のために、公共施設や行政サービスが連続して削減されていく方向性だということになります。

 しかし、このプランの数字が赤字どころか、黒字だったわけですから、

この乖離の大きい試算の数字をもとに、過度に事業廃止、縮小で市民負担増や行政サービス後退を招くことになったら、この責任が問われることになるのではないでしょうか。

 

令和2年度決算の100億円の黒字についての評価ですが、財政運営での努力の結果とみるのか、新型コロナ感染拡大のなかでの市民の貧困格差の拡大が広がる状況を見据え、もっと市民に寄り添った市政運営を推進すべきであったとみるべきか、視点をどこに置くかで評価は違ってきます。

 

総計決算での実質収支の5年間の推移をみると、2016年度が103億円、129億円、133億円、133億円、そして令和2年度156億円と年々増加し、5年間の中では過去最高額の黒字だった、

また、一般会計の決算でも、実質収支は100億円の黒字で過去5年間では最大となっていて、実質収支比率は5.7% 前年度比0.4%上昇しています。

 

 財政調整基金は、過去5年間で最高額の109.3億円となり、前年度の68億円から大きく増加しています。

 

黒字の要因として、コロナの影響で感染拡大防止から事業を執行できなかった、縮小したなどのやむを得ないと思われる部分もありますが、

しかし、そうであるならば、何故、早期に不用額等を想定し、有効に予算を生かすためにも、緊急的に補正を組んで、市民生活、地域経済支援に投入すべきであったと考えます。

 

今回の執行残、的確な市独自事業のために補正予算対応をとらなかったは、その背景に今後の大規模事業に備えての財源確保、構造改革プランによる財政危機論が影響しているように思われます。

税収減という点では、昨年度に続き、今年度も国の地方財政投入は一定税収減を補償するものとなっています。

  

令和4年度の総務省の一般財源総額概算要求では、令和3年度比0.3兆円増の634兆円と見込まれているようです。政府の「経済財政運営と改革の基本方針2021」の中で、2021年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」という方針を踏まえた要求とされています。

 

  令和3年度の本市の地方交付税も市の見込みを超えて増加したものとなっていましたが、4年度についても全体として大幅な歳入減ということはないのではないか、と見込まれます。

 

こうした動向をみると、6月会議の補正予算で挙げられていた市民への説明会が今後各区で行われていくことになりますが、市の一方的な数字、変動する数字を断定的に説明していくのは、「現時点では」という但し書きの数字であり、市民にコロナの不安に本市の財政危機の不安、二重三重に不安をかぶせるばかりならないか、危惧します。

 

市民への行政サービスの低下はすでに始まっています。

市は改革プランに改革項目として挙げられていた、就学援助の基準引き下げが今年度4月に実施され、援助を受けられない児童生徒が約400名近く出てしまいました。

10月以降の修学旅行のキャンセル料を保護者に負担を求める通知が出される学校が出ています。

 

生活保護世帯は本年3月末で前年比367世帯増加し、65歳未満の世帯が188世帯増加している状況からも、市内景気、雇用悪化を見ることができます。非正規雇用の方の解雇で生活困窮で税金滞納に至った生活保護基準以下の収入の方へ、給与差し押さえの通知が出るなど、生活相談の内容も深刻なものが多くなっています。

 

若者への食料支援、子ども食堂、生理の貧困など、現実の市民の苦難に寄り添った、市として可能な支援で市民を励まし、このコロナ危機を共に乗り切ってこそ、明日への希望につながり、市への信頼も生まれると思います。

  

コロナ感染対策では、わが会派では、ワクチン接種率向上に一層力を注ぐとともに、感染者が減少傾向にあるいまこそ、無症状者の感染把握につながる検査キット、PCR検査など「いつでも、だれでも、何度でも無料」で検査できるために、国へ求めるとともに、国の実施前にでもまずは独自予算を投入してでも、次の感染拡大の波に備える時と考え、要望してきました。

 

地域経済対策では、地域経済循環ともなる、経済波及効果の高い住宅リフォーム助成事業など、短期、中期的事業としても検討し、実施できないのか、

その他様々な対応策を要望してきましたが、実施されなかったことは残念です。

 

最後に、財政情報に関する提供の在り方についてです。

 

市は議会や市民に相模原市の状況については冊子でお知らせをしてきました。

これまで、経常収支比率が高いことへの指摘、課題の強調はありましたが、「真に必要なサービスすら提供できなくなる」とのここまでの財政危機の強調はされてはいませんでした。

何故財政危機論が急浮上したのかが説明されていません。

 

 本市の財政状況について、令和元年4月の選挙直後の5月の財政課発行「平成29年度普通会計決算」では、様々な財政指標が示されています。

本市は、20政令市中 財政規模は最下位の20位、個人市民税は15位、法人市民税は20位、普通交付税は16位、人件費は20位、扶助費は16位、

市民一人あたりの扶助費は14位と記述されています。

 

 今回の構造改革プランのターゲットになっている扶助費については、国庫補助事業では15位、地方単独事業では3位です。財政力指数は7位で、実質収支比率は1位、政令市中トップで、経常収支比率は政令市平均を超えていますが、この時、最も高い比率をしめしていたのが川崎市でした。

 

 令和元年5月には、こうした指標を示していたのですが、4か月後の9月試算の構造改革プラン案では、突然「8年間で768億円の赤字」と、財政危機が強調されました。短期間で、これまでの財政指標の示し方と大きく違っているのですから、丁寧な説明が必要です。

 

 1年後の令和210月に出された時は、「7年間で816億円の赤字」と数字が変わり、改革プランに沿って、各局マイナスシーリングを行い、赤字解消を目的とする、広範な市民に痛みを伴う行政サービスの縮小、廃止、市民負担増をするという方針は、現時点で決定、実施するのには無理があると考えます。

 

今後はリニア新幹線の令和9年開通の延期の可能性、京王線の駅移設の本市負担分の妥当性、相模原駅北側基地返還地跡地のまちづくりなど、本格的な大規模事業については、是非を含め、改めて、本市のまちづくりの方向性を検討した上で、事業費を精査し、市民に説明、対話を重ね、市民の意志を組んだまちづくりを行うことを求めます。

 

次に、国民健康保険事業特別会計決算についてです。

 

 滞納世帯に対する財産調査で約4千件実施し、そのうち、生活困窮を理由とした執行停止が948世帯とのことです。

 生活保護基準に近い世帯は執行停止になっても、新年度では268世帯が課税されるとの試算ですが、生活保護の捕捉率が極めて低い日本の状況で、貧困世帯の健康に生きる権利保障として、早急に減免基準を見直しすべきときです。

 

また、繰り返し求めてきた子どもに係る均等割の廃止や減額、第3子以降の免除など、低所得層、生活保護ボーダーライン層の減免について、コロナ禍ので貧困、格差が拡大している今こそ、検討を始め、早期に実施することを求めるものです。

 また、個人事業主やフリーランスの方にもコロナ終息はまだ見えない中、コロナ禍での限定的でも傷病手当金や見舞金など支給することは可能なではないか、と予算の精査と的確な執行を求めます。

 

最後に、麻溝台・新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計決算についてです。 

今年度末に事業変更案が出されてくる予定となっていますが、この地域の地下埋設物の把握と発出したときの対応の計画性のなさなど、あまりにずさんな事業進行でした。

工事中断中でも、地権者や関係事業者、市税金にも多くの打撃、損害を与え続けています。現時点では、毎年5億円近くが損害補償や安全確保等に支出されているなど、失政の責任は大きいものがありますが、現在議会の100条委員会で審査中ですが、議会としての責任も問われるものとなっています。

 

1日も早く、決着に向け、方向性を定めていかなければなりませんが、

現段階においても、この事業の決算認定には賛同することはできません。

 

以上討論といたします。