日本共産党市議団を代表して、議案第1号 2017年相模原市一般会計予算、議案第2号 国民健康保険事業特別会計予算、議案第3号 介護保険事業特別会計予算に反対する立場から討論を行います。
2017年度 政府予算案が2月27日、衆議院で可決されました。
日本共産党は「アベノミクスのゆきづまりのしわ寄せを国民におしつけ、暮らしを痛めつけるもの」だとして、組み替え動議を出したうえで、反対しました。
社会保障費の自然増分を抑制し、国民に負担増と給付減を強いる一方で、軍事費は過去最高を更新、不要不急の大型開発、大企業優遇税制を転換し、貧困と格差の是正につながる予算の抜本的拡充を要求しました。
こうした国の逆立ち政治に対し、防波堤となって、市民を守れるかどうか、地方自治体の政治姿勢が問われてきますが、3月定例会議中にも市政や市民生活に影響がでてくる可能性のある、大きな情勢変化がありました。
国民は、あきらめずに、原発反対、戦争反対等の国会前抗議行動も続いていますし、また司法に判断を求める、原発裁判、年金裁判、生存権裁判がたたかわれています。原発裁判では、東京電力福島第1原発事故で福島県外に避難した住民が国と東電に損害賠償を求めた訴訟が全国で約30件起きているようですが、前橋地裁で初の集団訴訟判決が17日に出ました。
判決では、「事故を防ぐことは可能で、国が規制権限を行使しなかったことは、合理性を欠き、違法だ」としています。国策として進められたきたことが、後世検証され、責任が問われています。
核廃絶を求める国際情勢では、いよいよ、「核兵器全面禁止につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する国連会議」が、3月27日から31日まで、おこなわれます。
こうした国内外の情勢変化と、各常任委員会での審査結果を踏まえ、相模原市2017年度一般会計予算に反対する理由を申し上げます。
新年度予算は過去最大規模の予算となっていますが、内訳をみると、「県費教職員の給与負担等の権限移譲に係る影響額282億円を除くと、前年度比34億円増、伸び率1,3%となっています。
歳入が増加した、といっても、歳入内訳をみますと、財政調整基金を63億円取り崩し、市債を前年度比87億円増加させた結果でもあり、「市民生活が豊かになったから」とか、「景気が良くなり、法人市民税等の増収が図られたから」といった明るい景気見通しにたったものではありません。
法人市民税の税収見通しでは、納税法人数は増加しても、税収は約15億円減少、特に資本金50億円超える法人で、約10億円減少見込みとなっています。税収面からの検証もし、本市の産業政策、企業誘致政策を見直す必要もあるのではないでしょうか。
国の法人税減税などの税制改革や、国際経済情勢次第で、大きく影響を受ける大企業頼みではなく、地域産業振興を内発型、地域経済循環型へと転換していくこと、防災、減災事業やインフラ改修事業の地元企業優先発注、福祉、教育事業などを地域産業の核と位置付け、雇用の安定と確保を図ることへの転換を求めるものです。
また、農林業など食糧やエネルギーの地産地消をめざす、自給率を高めることこそ、時代の要請であり、地域経済の活性化、雇用の促進につながるものであると考えます。
首都圏から近接し、森林や農地など緑の残された相模原市ならではの、地域特性をいかす方向へ、第一次産業分野においても、もっと積極的な姿勢をもつべきです。
当初予算推移をみますと、過去11年、ほぼ毎年減額されていて、農業費は6億4800万円、前年度比10%減少、林業費は6500万円で、前年度比 45%減少となっています。
森林ビジョンやさがみはら都市農業振興ビジョン2025や農業振興地域整備計画などの理念の具現化を図っていく時と考えます。
地球規模の温暖化、自然災害、軍事的緊張が高まっている今、50年先、100年先を考えるというならば、どんな状況でも、市民に安全で新鮮な食糧を提供できるための真剣な取り組みが必要です。
農林業分野の人材確保、育成に真剣に取り組むこと、安心できる食材、再生可能エネルギのー拡大につなげ、若い世代も、安定して働きつづけることのできる農林業政策への転換を強く要望いたします。
・予算編成の在り方について
新年度予算審査にあたって、前年度比較をしたとき、実に多方面にわたって、削減されていることも特徴です。
行政運営は、時代の求める新しいニーズをも充足できるよう、常に事業の見直しを図り、効率化を図ることは自明のことですが、地方自治体の本旨は、住民の福祉の増進であり、果たすべき責任はここにあります。
貧困と格差があらゆる世代に広がっている今、行政サービスは基本的人権、人間の尊厳を守るという姿勢を堅持すべきであり、受益者負担論、公平論で分断、格差を新たに生み出すべきではないと考えます。
こうした視点にたって、新年度予算をみますと、税金の使い方、優先性の点で問題があることを指摘せざるをえません。
細目にわたって削減されていますが、ほんの一例をあげますと、
総務費では、国際交流事業、ふれあい広場維持管理費、市民活動サポートセンター経費や市民活動サポート事業、各まちづくりセンター等維持補修費、
衛生費では、健康づくり施策推進事業、口腔衛生事業、
教育費では、小中学校再配当分や教材等整備費、体育施設等維持補修費です。
小中学校への再配当予算減額は、全校合計、前年度比4900万円も削減で、校長先生は、どこをけずろうか、保護者への負担を、求めなければならなくなるのではないか、と頭を悩ましている、との声も届いています。
教育の現場でここまでの苦労を強いることは、問題だと考えます。
民生費では、高齢化対応や子育て支援等の自然増や法改正に伴う増額がありますが、削減された項目も多々あります。
児童養護施設等運営補助金、児童館維持管理費、児童厚生施設維持補修費、子どもセンター維持管理費
土木費では、各河川改修事業、既存住宅・建物耐震化促進事業、公園維持管理費、公園維持補修費、市営住宅維持補修費など、です。
予算減額となった、象徴的と考える事業等です。
事業が終了したとか、ピーク時の歳出でないからとか、他の事業、会計に移行したから、とか、決算ベースに合わせたからなど、予算減少の理由が理解できるものもありますが、全体的に事務費や恒常的経費、維持補修費等が減少となっています。
本市の財政状況が極めて余裕のないものとなっています。
福祉・医療関連の扶助費は自然増で、市財政への影響もおおきいのですが、本来、国民の命を守る、国の責任、国の予算の在り方が、自然増を抑制する方向であることが、根本的な問題であり、地方財政をも追い詰めるものとなっていることを指摘しておきたいと思います。
しかしながら、そんな中でも、「人と企業に選ばれるまちへ」の方向への予算が徐々に増額となっている、本市新年度予算は、市民の合意が得られているとは思えません。
あらゆる部門の予算をカットしながら、歳出増になっているのが、土木費 リニア関連の広域交流拠点推進事業等や大型土木公共事業です。
代表質問で、各鉄道関連事業の総事業費、本市負担金、具体的スケジュールについて、伺いましたが、示されませんでした。膨大な事業費が必要になってくると思われますが、本格的に事業着手、進行すれば、どこから財源を生み出すのでしょうか。借金を次世代へツケ回ししていくことになることになり、市民合意が得られるとは思えません。
また、麻溝台、新磯野第一整備地区土地区画整理事業も前年度比で大幅に伸びています。
こうした、建設事業は、資材費、人件費の増加傾向のなかで、今後、想定超えて増大していくことが危惧されています。
財政見通しは不透明ですが、将来を見据えたとき、はっきりしているのは、人口減少と未曾有の超高齢社会の到来です。
グローバル社会で軍事情勢、経済情勢が不透明な時代、「希望的見通し」でなく、地方自治の本旨に基づく、堅実で、市民満足度の高いまちを市民とともにつくる発想にたつべきと考えます。
さらに、市政の課題で確実に迫ってくるのが、インフラや公共施設の老朽化対策・再編統合への税金投入です。
今後のリニア関連の新都心づくり、広域交流拠点整備事業等が本格的に推進され、事業費が投入されることに、市財政は耐えられるのでしょうか。新年度予算の状況からも、不安が高まるばかりです。
まちづくりでは、
橋本駅に近接する高圧線鉄塔移設問題も、JR東海と送電鉄塔管理者間で協議調整中のようですが、ここに何故市が入っていないのでしょうか。影響を受けるのは市民です。
市は、2社の協議結果の報告を受けるだけなのでしょうか。
市が市民の立場にたって市民の利益を守る、自然環境、生活環境破壊を許さない立場を堅持し、しっかりと意見を述べるべきです。
今定例会議で、「土砂等の埋め立て等の規制に関する条例」改正が提案されました。
日本一厳しいとされている、本市の埋め立て条例がさらに、新たなに土砂等発生者を定義し、不適切な土砂の搬入等の防止を徹底させるために責務を規定する、というものです。
リニア新幹線工事との関係は、まだ、具体的なことがしめされていないことから、直接的に対象になるかどうかは現段階では、明らかではないようですが、産業廃棄物としての発生残土についても、市の関与、指導が必要となる可能性もでてきました。
残土も廃棄物としての残土も、どちらも、いまだ活用先、処分先、集積先は示されていません。
国家プロジェックトとして、位置づけられたリニア中央新幹線建設においても、原発とおなじように、安全神話にたって、推進されようとしています。
JR東海は準備書、方法書、評価書など住民への説明という各段階できわめて不誠実な姿勢でしたが、後世、責任問題として、問われてくるときがあるのではと考えます。
沿線住民の訴訟も行われ、相模原市民も原告になっています。自然環境、生活環境破壊、安全性が担保されていない、リニア中央新幹線建設に反対し、リニアだのみのまちづくりは、見直すことを求めるものです。
新年度から「こども・若者未来局」を新設したことは、国の総合戦略の「若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える」という基本目標に照らしても、時宜を得たものととらえています。
とりわけ、本市総合戦略の基本視点にある、「若い世代の安定した雇用、子どもを安心して生み、育てる環境の提供」の点からも、期待をいたしましたが、保健、福祉、相談、児童相談所等、所掌事務をみますと、従来の事務の再編統合のような印象を受けます。
もちろん、このことがそれぞれの事業展開に有効であることを期待するものですが、局名に「若者」と冠をつけているのは、現在のところ、本市だけですから、積極的に生かすこと、アピールできるいい機会だと思います。
非正規雇用の比率が高く、低所得の若者に、家賃補助、奨学金返済への補助や給付型奨学金など、若者世代の現状を把握し、定住促進につながる施策を実施する自治体がでてきました。今後広がっていくと考えられます。
今、若者自身が真に切実な願いを積極的に市政に届ける、反映させる、施策策定に係れる仕組みづくりを構築すること、他市に先駆けて進めていくことは、大変意義あることです。是非、設置したいただくことを、重ねて要望するものです。
保育所待機児、学童クラブ待機解消問題は、喫緊の課題です。
女性の活躍をといいながら、安心して出産、働き続けられない、子育て環境では、看板倒れです。本市の待機児もゼロといいながら、保留児としてカウントされる、隠れ待機児は解消されていません。
保育の質を確保しながら、待機児解消をはかる、この基本姿勢をぶれずに保育行政を進めていかれること強く要望するものです。待機児解消のためにと規制緩和して安全や保育の質を落としては、取返しのつかない、ことになりかねないからです。
乳幼児期の成長発達はその後の人生を大きく左右します。全面的に発達した人格形成の場である、保育環境は子どもの最大の利益を守る、子ども権利条約の精神を厳守すべきです。認可保育所を増設し、定員拡大する方向での待機児解消を求めます。
公民館の有料化に向けての市の考え方、スケジュールがこの定例会議でも示されました。
戦後、公民館は国民に民主主義を根付かせるための学ぶ場として、集う場として、協働してまちづくりを進める拠点としての存在でした。全国の流れが変わる中でも、
相模原市は4つの原則、無料の原則を継続させて、公民館の歴史、誇りを重ねてきました。
市が示した利用料案は、利用の減少につながらないよう、配慮して、低額にする、公益的活動の団体は減免する、との説明でしたが、この数字は、現在の出発点としての数字だということです。
代表質問の答弁で、「公民館も他の公共施設と同様に、「受益者負担の在り方の基本方針」に基づき、3年に一度の周期で定期的、継続的に見直しを行う」と明言しています。見直した結果、料金改定が必要になることもあること、も言及しています。その際、維持管理費の節減を図り、負担がふえないように努めていきたいと考えている、とも述べています。
しかし、市は、値上げはしない、とは答えておりません。
施設運営コストは年々増加していますし、さらに、今後原発の事故処理費用を電気料金に上乗せのせして国民が負担する国の考え方で、電気料金が値上げすることが予想されます。
2016年度42公共施設が130%を上限に値上げされましたが、実質賃金が減り続け、年金額が減り続ける中、可処分所得が減り続ける市民の家計を2重、3重に直撃することになります。
市は、9月定例会議に有料化の条例改正案を上程する考えをしましましたが、有料化について、容認することはできません。
そもそも、受益者負担の考え方を公民館利用者に当てはめることは、社会教育法や公民館の施設目的に照らし、なじまないこと、利用者の間の分断をもたらすことからも有料化の撤回を求めるものです。
政令市相模原市民は、他政令市と同じようなサービスが受けることができていません。市民病院がない、市営バスがない、市立高校がない、そして、公設の地方卸売市場がありません。
今回の一般質問で中央区東淵野辺の相模原綜合卸売市場が閉鎖される問題をとりあげましたが、市の立ち場は極めて第三者的、傍観者的な答弁でした。
市民への生鮮食料品等の安定的な供給を図る、健全な市場に、市は支援していく立場にたつことが求められていると考えます。相模原市は大型店舗の面積比率が高いまちですが、今後高齢社会に向かうことを見通せば、身近な地域で安心安全な食糧品を入手できる環境を整えることも市の責任です。市内流通産業を維持・発展させていくことについて、丁寧に関わり、支援していくことを要望します。
窓口業務の民間委託を総務省が旗を振ってすすめようとしていますが、いち早く本市が手をあげ、新年度から中央区区民課窓口で、住民票移動届け、印鑑登録及び受付業務が民間委託される予算となっています。
先行実施されている自治体で、様々な問題がでて、法務局、労働局などから見直し指示、是正指導などが行われているとの情報もあるなど、個人のプライバシーにかかわるこうした事務は市職員が行うことが望ましく、行政サービスを安上がり民間に移行させて、市民サービス低下になる懸念もぬぐえません。撤回を求めるものです。
次に国民健康保険事業特別会計についてですが、
国民皆保険制度の根幹である国民健康保険制度は、相互扶助の医療保険制度です。
社会保障制度であることが根本にあります。高すぎて払えない保険税は、その趣旨からも問題であり、低所得者のいのち、健康を等しく保障する制度であるべきことが前提です。
本市の国民健康保険制度は一般会計からの繰り入れが多額だからとして、国の低所得者対策として、自治体に投入された1700億円の本市を、この繰入額を縮減するために、投入され、減免等の低所得者対策にきちんと生かされておりません。他都市のように、きちんと国の考え方によって、高すぎる国保税の引き下げに生かすことを求めます。
本市の生活困窮世帯への減免制度も2つの基準に達していなければ、該当とならず、国保税を払えば、生活保護水準になってします世帯も生じる場合もあります。
国保税を払えず、また窓口での医療費が払えず、我慢して、悪化する、手遅れになるなどの事態があることが医療団体の全国調査で出ています。
真に命を救う、国民皆保険制度、社会保障制度としての国民健康保険制度の理念に照らし、現実との乖離がある減免制度の改善を求めるものです。
次に介護保険事業特別会計についても、この間の介護保険制度連続改悪によって、特養老人ホームの利用が介護度3以上となり、また所得によっては、倍増となった入所費用など、保険あって介護なし、高齢者世帯の負担増が、高齢者保険料の値上げとともに、重くのしかかっています。介護難民、老々介護の深刻な実態が広がり、この間、高齢者の貧困の問題もクローズアップされています。
また、要支援1,2の方の介護保険外し、総合事業として、市の事業として行われることになりましたが、まだ、受け皿の点でも十分な状態となっていません。高齢者が劇的に増えていくことに対応できる体制強化や環境整備、適切な情報提供の充実という点で、現時点では、市民の声、願いにこたえ切れていないと判断します。
以上、討論といたします。