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日本共産党市議団を代表して、議案第119号 一般会計補正予算、及び議案第120号、麻溝台・新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計補正予算に反対する立場から討論をおこないます。
提案されている、一般会計補正予算には、妊婦健康検診費用の助成限度額や助成回数の拡充、及び、ひとり親家庭等自立支援事業として、高校卒業程度の認定試験合格のための学習講座や認定試験の受講費用等が計上されていること、また、認定こども園に移行予定の幼稚園の施設・整備費の一部助成など、これまで要望してきた、市民生活を支援する内容については、評価できるものであり、賛成できる部分です。
しかしながら、今補正予算には、戸籍住民事務運営費として、10月からのマイナンバー法に基づき、本市が実施するにあたっての費用で、約3億円、
財源内訳は、国庫支出金が約2億7000万円、本市歳出は約3000万円が計上されています。
6月定例会の時にも、マイナンバー関連費用が計上されていましたが、日本共産党議員団は国会でも各地方議会でも、様々な問題点を指摘し、制度施行に対し、延期、中止を表明してきました。
10月5日からは番号を国民に知らせる「通知カード」の郵送が始まりますが、そもそも、世論調査でも、制度の周知と理解が徹底されているとはいえません。また、この間の国の調査や国会論戦のなかで、明らかになったように、自治体や民間事業者の準備状況が万全とは言えず、このまま制度実施することへの不安が広がっています。
本市でも新たに非常勤職員を雇用し、研修を行い、対応していくとしていますが、責任も伴う窓口対応など、不安を払拭できません。
マイナンバー制度実施の中止または延期を求める陳情が、本定例会に出されていますが、従業員を雇用する事業主は、「個人番号関係事務実施者」として、従業員やその扶養家族等の個人番号管理体制や準備のための様々な経費が必要となり、ランニングコストも重い負担増となります。
事業者にとっては、制度のメリットよりも、必要経費や情報流出への懸念、損害補償対策など、2017年消費税増税とともに、中小事業者への大きな負担となり、経営を圧迫するものとなります。
住基カード、住基ネットに比較しても膨大な費用をかけてスタートしようとしていますが、個人情報保護に関する対応が現段階で全体として、万全でないなか、強行されていいのでしょうか。
改正法よって、健診情報や銀行口座などとマイナンバーを結びつけるなど、さらに情報漏れや悪用へのリスクと不安が増大しています。
民間事業者への対応、支援も進んでいないなか、制度実施を強行することはあまりに危険です。
主要国首脳会議7カ国で、日本のように全員強制・生涯不変、官民利用の番号制度を導入している国はないとのことです。
導入しているアメリカや韓国では、銀行口座など大量の個人情報が流出し被害が発生、見直しに追い込まれていることからみても、日本のマイナンバー制度導入は世界の流れに逆行するものと言わざるをえません。
マイナンバー制度については、制度実施の延期、中止をすることを求める立場から補正予算には反対するものです。
続いて、麻溝台・新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計補正予算についてです。
2015年度から2022年度まで、7年間で、総額79億9000万円の債務負担行為を設定するものですが、代表質問や建設委員会審査のなかから、看過できない、様々な問題点や懸念事項が浮上してきました。
まず、第一に、事業費設定が2ヶ月間で約10億円も増加した点や、議会に情報提供される数字について、問題を感じざるを得ない点が多々ある点です。
区画整理事業においては、事業採算性が最も大事な点ですので、事業費見通しは、厳密性が求められます。
近年大型事業ほど、事業費が膨らむ傾向がありますが、とりわけ、建設業界を取り巻く環境は人件費や資材費等の値上げが続き、今後についても、更に厳しくなるものと想定されます。
6月16日の建設部会では総事業費については、「民間事業者包括委託制度」を導入することによって、9億円を削減することができ、70億円と説明がありました。ところが、その時点でも、本当は73億円であったこと、73億円を切り下げて、「70億円」と議会に説明したと、9月建設委員会で答弁がありました。3億円という数字は小さな数字ではありません。
何故、「切り下げた」数字を議会に示したのか、正確な数字が示されないのか理解、納得できません。
これでは、議会として、判断するにあたって、示されている各数字に対しての不信感が生じることになるではありませんか。
この地域は積算を緻密に行っても想定を超える変動がある可能性が危惧される地域です。事業のスタート時点で、このような数字の示され方について、問題を感じざるを得ません。
第二に、79億9000万円の財源内訳の見込みを見ますと、国県支出金が31億8300万円、地方債が24億400万円、その他11億6700万円となっています。7年間の債務負担行為として、設定するものですが、
国支出金約32億円、その他11億6700万円、これらは確実に確保出来る資金でしょうか。
今、オリンピックに向けて首都圏での再開発建設ラッシュですが、国の補助金がスムーズに本市に入ってくるのか、事業費の約4割を国が補助金を出す、ということは完全に担保されているのでしょうか、また、その他、約12億円
の財源見通しについても、不安を払拭できません
第三に、事業推進にあたっての、責任の在り方への不安です。
この地域の区画整理事業は、市が直接行うのではなく、全国はじめて、「民間事業者包括委託制度」で行うとしています。
民間事業者への委託ということは、公共事業でこれまでも取られてきた手法ですが、「包括的に委託する」という点は、初めてことです。
市は受託者業務の監督、指導を行い、事業の責任は原則市が負う、としています。しかし、役割分担の中で発生した事由については、それぞれが責任を負うとしています。
6月建設部会では説明がなく、9月会議の代表質問に対する答弁で、突然だされたのが、「設計、積算」をチェックする「第三者機関」の存在です。
特に疑問に感じるのは、設計、積算等その内容の精査にあたって、「第三者機関に確認業務を委託する」しているのです。
設計や積算のチェック業務を市が直接行うのではなく、第三者に委託す
るが、最終的には市がチェックする、責任をとる、としています。
区画整理備事業そのものの委託と、委託事業者の設計、積算のチェックを第三者に委託する、市が直接チェックしない、ということでの責任のあり方が明確になっているのか、危惧されます。
さらに、驚いたのは、今建設委員会で、我が会派議員が指摘した、「民間事業者包括委託制度」の「導入検討」を「委託」したことです。
随意契約で、予算は500万円で締結されていたということです。
民間包括委託制度を導入するか、その是非の検討を500万円で委託する、
このことは、会派の独自調査で判明したもので、委託することと、委託費については議会には一切説明がなされていません。
何故、説明がされなかったのか、疑問を感じます。
第四に、地権者への説明と議会での説明と違う内容であることです。 第三者機関に確認業務を委託する点について、地権者には説明されていたのに、時間的には、その後の、議会には説明がされずみに、9月会議の代表質問の答弁で始めて聞くことになりました。
さきに指摘した数字についても、地権者への説明と議会への説明が違うことがあったことも、腑に落ちない点です。
最後に、まちづくりの全体像についてです。148ヘクタールという区画整理事業の一部、38ヘクタール部分を先行的に市施行で行うとするものですが、そのため、道路整備が今回の事業の部分の600メートルだけ、4車線整備ということで、繋がる道路は拡張されない、ということです。
道路混雑渋滞など、交通環境悪化をもたらさないのか、という点です。
この地域は、現在も時間によって渋滞を生じています。良好な道路環境は区画整理事業、再開発事業などで、優先的重要な問題です。全体でみれば不自然な道路整備と言わざるを得ないと考えます。
また、残る2区間は組合施行で行うとしていますが、事業費、時期など、明確でなく、先行区間との連動したまちづくりの全体像が見えてきません。
さらに、ショッピングモールを呼び込むようですが、座間市、海老名市など近隣の都市との競争激化が予想されます。
ショッピングモールや物流など、景気変動のしわ寄せを受けるやすい産業を誘致しようとしている点も不安が残ります。
以上、今会議に上程されている、麻溝台・新磯野第一整備地区区画整理事業に関しては、様々な点で、賛成し難しいと判断し、債務負担行為設定に関する今議案には反対するものです。
以上討論と致します。