2013/11/05

リニア、意見書提出

JR東海へ意見書を提出しました。



環境影響評価準備書への意見書



準備書や市内説明会場で私自身、質問したり、会場からの質問者の質問や、それに対する回答内容や回答者の態度等について、自然環境の保全や地域の経済、生活環境等への見地から意見を述べます。

全体への意見   

8月方法書、10月準備書を公開し、説明を行い、意見を求めていますが、住民の疑問や不安に答える内容や情報が説明された、とは言いがたく、回答にあたっ ても真摯な態度が見られない点は残念です。      説明会では、神奈川、相模原市内の市域に限った問題だけでなく、様々な疑問、不安、質問、意見が出されました。      しかし、回答では、前回の説明会と同じく、具体的なデータや地域限定などが示されず、環境への影響を関係者が評価することが出来ない状況です。      1回3問 と制限され、回答をうけたのち、再質問が許されないやりとりでは、一方的な回答にすぎず、説得力をもたないまま、会が終了というパターンが相変わらずくり かえされました。      このようなやり方では、制度に則って、アリバイ的に説明会をこなすスケジュール消化に過ぎない、姿勢を感じざるをえません。      改正された環境影響評価法は、計画の早い段階で、原則として複数案を比較検討し、その妥当性について広く意見を聴き、合意形成を図るとしています。本来 的な戦略的環境アセスメントの趣旨、意義を生かすものには、なっておらず、専門家、学識経験者、住民の不信と「リニア中央新幹線は必要ない」の思いは、一 層増大しました。          この事業の破綻が現実化したとき、事業者、県市など推進同盟関係者の責任追及は逃れられるものではなく、パブコメに寄せられた声を真摯に受け止め、事業 開始まえに、慎重な再検討を行い、勇気を持って、いったん事業中止を決断されることを意見として申し上げます。          以下、環境影響評価準備書のいくつかの項目について意見具申します。

1,発生残土

排出される残土の量や処分方法、暫定置き場や処分地等があいまい、具体的に    示されないのでは、全く無責任で、環境影響を評価出来ない。         新たな残土は二次的な環境影響を自然や生活環境に及ぼすことになるのですから、十分綿密な推定を行い、対処方法について責任を持って提示すべきです。         地下、駅、非常口、車両基地等、それぞれ示すことは、現時点で、環境影響を評価し、意見をもつために住民にとっても、必要な情報です。         準備書として、不完全ではないでしょうか         今度は計画書の段階で説明、ということでは、遅すぎます。         環境アセスの戦略的意義が失われることになります。

 2,車両基地

車両基地指定の経過についてですが、相模原市での車両基地が鳥屋地域と指定されたのがあまりに突然。          説明会で、「寝耳に水」と、感じた住民の声を真摯に受け止めるべきです。         鳥屋地域の自然に囲まれた生活環境が一変することになりますが、このような環境激変になることが関係住民に、突然示され、不安に陥れられる住民の思い、声 をしっかりと受け止めるべきです。          限定された当該地域住民の声ですが、個々の幸福追求権の侵害に当たるケースもあると思われます。地域の分断とこれまでのコミニティを壊すことになるのは 必須です。          関係者の合意形成が大前提の事業です。着工14年と定めているスケジュールは、最初から、時間をきちんとかけながら説明、対話をし、理解、納得、協力を 仰ぐという姿勢にたっているとは思えません。         高低差のある鳥屋地域が何故選択指定されたのか、その理由が示されていません。         山を崩し、谷を埋め、平坦にするという大規模な工事が必要な地域で、小中学校が存在、近接しているのに、何故この地域か、全く説得力ある説明はありませ ん。          また、工事中の大型トラック通行が1日平均1000台、という数字には唖然としました。新しい道路も作らない、との説明もありましたが、狭い県道の交通 量の増大は、工事期間中だけでなく、完成後、車体をみることができる地域として、県内外から「観光客」が押し寄せてくる地域となると、期待想定しているな らば、交通問題は重大な環境影響をもたらすことになります。         これらの推定に対し、根拠を示して、かつ対応に対し責任をもつべきです。                 説明会では、用地買収の時点での説明会は行うとの回答がありましたが、十分な議論、対話を行うべきです。

3,地下駅と地下周辺通過地域      

今回の準備書で橋本駅相原高校移転後の跡地に駅建設と指定されましたが、市域の40メートル以下の大深度地下に建設されるのではなく、地下トンネルも大深 度ではありません。     地下をリニアが通る関係住民が多数存在することになります。     駅周辺では、工事中の発生残土運送トラック増加による、交通問題、立ち退きが迫られる住宅問題、相原高校の果たしていた、地域貢献、大規模災害時の帰宅困 難者避難所の相原高校に変わる具体的場所も示されていない問題、交通アクセス等、具体的なことが現時点でも、示されていないことも問題です。      関係住民がもつ不安に対し、安心の根拠になるような具体的な対応策が示されてこそ、環境影響の評価が可能であり、現時点ではこの拠点的な場所に対し、     事業者側、推進同盟側の期待値しか示されていないのではないでしょうか。         自宅敷地の地下をリニアが通過することの影響について、住民は不安をもっています。安心だとする根拠が示されないからです。地価の変動の予測も出来ず、個 人財産権に関わる問題となってきますが、この点も不安のようです。      また、地図のうえでの詳細な限定がなされていないのは、準備書として、不十分ではないのでしょうか。一定の幅でのルート図になることは事業推進上、やむ を得ないのかもしれませんが、来年度工事着工を目指す時点であることからは、あまりに、地域指定があいまいではないかと思います。     事業計画の時でなければわからない、というのでは、「後の祭り」になりかねない、     そんなタイムスケジュールそのものが問題です。          来年から着工という時点なのに、明確に指定されないまま、決定、用地交渉に入るというのは、関係住民にとって、事業者への不信感を持たざるをえません。     早期により詳細な地図上での通過地下の部分を示すべきと思います。     関係住民との十分な対話、合意形成なしに強行することは、公共交通のスタートとしても問題であると考えます。     相原高校はこの地域では歴史的にも価値ある役割を果たし、現在も地域住民と、「農業高校」ならではの緊密良好な関係を築き、災害時での重要な拠点的な位置 づけももつ高校です。      駅まえの緑豊かな学校の存在は他地域にはない、魅力としてこそ、生かす存在となり得る学校です。      推進の立場の声だけを聴くのではなく、相原高校の価値を認め、存続を願う地域の思いも受け止めるべきです。

4,停車本数と経済波及効果  

この問題については、数カ所の説明会場で、質問がありましたが、1日1万人利用者を推定、との回答。何故、そのような数字はでてきたのか、もっと具体的に 根拠を示すべきです。      他の競合する交通機関の状況、経済状況、等々の理由をあげ、具体的停車本数を明言していません。      ところが、推進同盟は1日5本停車と想定して、経済波及効果を試算し、バラ色に描くというミスリードとなりかねない旗を振り続けています。     このあいまいさは、「責任問題」であることを肝に命じるべきです。     甘い見通しで、巨大事業をスタートさせ、膨大な赤字を産み、誰も責任をたらず、最終的に税金投入、という過去の巨大事業の過ちから教訓を引き出し、厳密な 試算をし、試算根拠も示し、住民に提示すべきです。     この問題は事業者、コンサルタント、推進同盟関係者、現時点で、個人名でしっかり示しておくべきです。     責任を問われる問題であることを強調したいと思います。

  5,地下水、発生水    

工事中に発生する汚染水処理の想定、地下水の枯渇の可能性に対する説明は全く説得力を持ちません。      現実に山梨時実験線で水枯れが起き、住民へ補償するということがあることを認めていましたが、これが本市に起きる可能性について、全く問題ない、との見 解を示しました。      本市においては、下水道経営課に飲料水、生活用水、産業用水に使用されていて、下水道管へ排水されている申請件数は522件(家屋、事業所)存在してい ます。      地下水はその特徴から、工事との因果関係を明確にすることは困難のようです。     工事前の市内地下水の状況、工事中、工事後の調査等、的確に検証し、きちんと対応すべきですし、こうした取り返しのつかない、地下資源、「必要性のないリ ニア」で失っていいのか、土木インフラが今後老朽化、更新時期に入る、とか、自然災害が重大な被害をもたらすとか、インフラのなかでも「水」はきわめて貴 重です。     「地下水」への影響評価は現状を正確に把握し、追跡調査、検証をするという姿勢があるのか、疑わしい、説明でした。     「影響は小さい」「影響はない」、言い切っていいのでしょうか     山梨で起きたこと、相模原の地下水で起きないという根拠は考えられないので、再度、詳細な調査結果を示すべきと思います。

 6,火災等非常時の避難ー都市トンネル、山岳トンネル    

火災等、非常事態時に安全に避難できるのか、乗客一番の不安があります。      新技術での走行は信頼に足るかどうか、未知数だからです。     火災等発生時のことを質問しても、「火災は起きません」などと、の回答は説得力をもつものではありません。方法書の説明会時と比べると、都市部のトンネル には、「下半分が避難用通路で、安全に避難できる、」と図示され、そのような説明がありましたが、「乗客同士で助け合って、避難して下さい」の回答も相変 わらずで、乗務員も何人で、どの位配置されるのか、数字は示されませんでした。     エレベータの定員が40名という規模には、会場内、驚きの声が上がりました     1000名近くの乗客を想定し、エレベーターは40名?     安全確保上必要な人員配置の基準があるのか、ないのか、地下、山岳長大トンネルなど、過去にない形ですから、不安を解消するには、説明としても不十分で す。      山岳トンネル非常口から脱出できたとしても、消防、医療チームなど、が駆けつける道路等を山深くに新設し、道路維持管理しなければならないことから考え ても、     不安が残ります。     説明時に、CGなどシュミレーション等でわかりやすく、イメージしやすく、もっと工夫が必要ではなかったでしょうか。     安全性への不安が払拭できないと、「お客様」にはなれません。     営業維持継続に関わる問題として、もっと真剣に向かいあって、不安解消を図る説明をすべきです。

7,小倉橋景観   

この地点の景観が著しく損なわれると思います。委員会の委員の想定で損なわれない、としていますが、提示された資料を見たかぎりでは、景観問題なし、とは思えません。これから観光資源として、アピールしていく本市にとって、相模川沿いの景観は重要な問題です。

8,電磁波・磁界    

説明会で、電磁波の心配を質問した方に対し、電磁波ではない、電磁界だと、言い放っていましたが、その態度に傲慢なものを感じました。         この問題は専門的な分野で、データを示されても、素人である私達には、データで、反論は困難です。この問題では、学習会などを重ね、危険性、問題性を指摘 している科学者、専門家の主張もあります。山梨実験線のデータが公表されていないとか、「基準値よりきわめて小さな値」とどこでも強調していましたが、ど の会場でも同じ質問があるということはこの問題での不安が大きいとおいうことですから、もっと丁寧な説明が必要であることを意味している筈ですがどこでも 紋きり型の回答に終始していました。

 9,変電施設、送電線の影響   

電力供給は電力会社の問題、として、送電線に関しては一切説明がない、      供給力についても、全く問題がない、との姿勢、質問をかわしていました。     緑区小倉地域への変電施設についても、現時点でもっと位置を具体的に示すべきです。周辺で、生活する住民の電磁波問題など影響を考えようにも、今回のよう な示し方では、意見もだしようがありません。送電線の建設時の自然環境への影響や電磁波など、「小さい問題」とは思えません。東電は今原発事故、汚染水処 理問題で最重要課題として取り組んでいると思いますが、電力供給関係についてももう少し丁寧な説明を行うべきです。

10,活断層を横切ることについて   

日本自然保護協会等は、「活断層」を横切る事の危険性を鋭く警告しています。     地震があっても地下だから安全、大丈夫、短く横切るから問題ない、と説明されても、素人の感覚でも鵜呑みに出来ない不安が残ります。     何故、このような一度でも起こると取り返しのつなない大事故につながる危険な可能性をもつ地域を通るのか、自然を破壊してまで、40分で名古屋へ、1時間 弱で大阪に行くことを優先すべきこととは思えません。国民の合意形成が図られていません。アンケート結果でも明らかです。     地下走行道、非常口、送電線等、大規模な自然破壊につながりかねないと自然保護協会は指摘しています。想定外の事故ということは許されないことは原発事故 の経験からも言えますが、専門家からの指摘を事業者の立場から検証し、再度、責任を明確にして(JR東海側が、大丈夫としている科学的根拠、専門家を明ら かにすること)再検討し、ルートの見直し、建設中止を決断すべきと考えます。

 11,事業費と需要見込み  

国の経済政策により、長期金利が引き上げられたり、国際経済状況の変化で、資材や燃料、電力等が高騰したり、自然災害が過去経験の無い規模で頻繁に起きる 事態となっていることから、地震等自然災害や難工事で工事期間の延長等で、事業費が膨らんで来ることをどの位幅を持たせての数字なのか、疑問です。     金利が乱高下する時もあり、世界経済も波乱に満ちたものとなっています。      十分考えにいれている、甘くない試算、厳しい試算でやっている、との回答もありましたが、納得出来ない、不安が残ります。     電力需要と供給も不安定、政権がらみで政策的動向も不安定、変動が大きいものとなっています。 「名古屋まで、5兆円、大阪まで9兆円」      この金額を超えた場合、自力で事業維持出来ない、ということは絶対に起きないのか、不信感を持ちます。         それは、地下駅は地元自治体が負担するように、と言い続けていたのが、突然、JR東海が全額負担する、地元負担はなし、と変更するなど、急転回する姿勢、 綿密な計算をしていたのか、国民のまえでのパフォーマンスをしていたのか、数千億円の話しを突然変更する姿勢を見てもどこまで信頼できるのか、不信感を払 拭できません 説得力ある、データを示すべきです。         需要見込みについては、各地の説明会で不安の声が出されていました。     リニアは時速500キロ、速い、ということだけが取り柄ですが、安全性に不安がある、既存線との連結性がない、など、中間駅は決して利便性が高いとは言え ないのではないでしょうか。      品川発で、加速し、500キロに到達し、とたんに、減速し、相模原駅着では、品川から名古屋まで、500キロで40分という速達性が中間駅ができること で、スピード性が失われるでは。既存線からの乗り換え時間、地下40メートルまでの移動時間等、最終的に時間短縮がどの位になるのか想像すると、、新幹線 のように、国民に信頼され、愛されるものになるのか、疑わしい。

一部の新聞報道で、全線開業に、ある政党や関西広域連合が、国費投入への圧力をしかけているとの記事がありましたが、被災地復興、福島原発事故収束もして いない、汚染水処理も危機的状況の中で、リニア沿線住民始め、疑問や不安が広く出され、凍結、 中止を求める国民の声に答えず、工事強行することは暴挙であり、歴史的な禍根を残すものであり、許されないことです。

今回の国民からの意見を真摯に受け止め、14年着工について、強行しないことを強く求めるものです。

以上