2014/03/01

「いじめの防止に関する条例」反対討論全文

日本共産党市議団を代表して、文教委員会提出議案 第1号 相模原市いじめの防止に関する条例に反対する立場から討論を行います。

いじめを苦に子どもが自ら命を絶つまでに追い込まれる事件が続き、子ども達が学校や地域で安全に、安心して生きる権利、成長する権利を保障することが、大人社会の責務として、いじめを克服するための取り組みの強化が叫ばれ続けてきました。

本市においては、関連する取り組みとして、2012年に「子どもの健やかな学校生活等を支 援するネットワーク会議」「13年4月教育委員会に人権・児童生徒指導班の新設、新年度は児童支援専任教諭の配置、4月1日からは、法の規定に基づき、相 模原市いじめ防止基本方針が施行され、取り組みの強化がなされています。

そうした中、提案されている今回のいじめ防止に関する条例は、議提議案ですので、本来もっ と、議員間討議が活発に展開され、議会として、全会一致で市民の前にお示しすることが望ましい形だと思いますが、残念ながら、現行提案されている条例の内 容、制定過程等にいくつかの問題の点があり、このままでは賛成しがたい、ことから、反対とするもので、以下理由、意見を述べます。

まず、内容の点です。
「いじめは絶対に悪いという考え方を基本にして」という文言についてです。
条例前文と基本理念の、2箇所にでてきます。

過去の子ども世界の中で起きていた、小さな小競り合いとか、ふざけとか、トラブルなどと違 い、今のいじめが人権侵害や自殺にまで追い込んでしまう深刻な事態に繋がる「いじめ」を防止しながら、日々人間関係の上で起きる誤解、ゆきちがいなどを解 決し、子ども達自身の主体的な力を育成すると同時に、学校、教育関係機関、地域社会がどう取り組んでいくのか、どういう環境整備をしていくのか、が法律や 条例制定の意義、目的の筈です。

「いじめは絶対に悪い」という断定した強烈なこの文言そのものについては、文教委員会や部会、でも一定の議論がされています。
先日開かれた市民意見交換会でも多くの方が、この文言が発する影響への危惧、懸念の意見が出され、修正を提案する意見が出されていました。
又、委員長が訪問した学校現場からも問ではないか、の声があったと伺っています。
「いじめは絶対に悪い」と一刀両断に切り捨てるかのようなこの文言は、子どもに寄り添っているだろうか、と思わざるをえません。適切とは思えません。
小中学生を数年間かけていじめに関する追跡調査の結果で、7割から8割の子がいじめられる経験、いじめる経験をしていること、加害者、被害者が流動していること、そして、いじめが見えにくいことが今日のいじめの特徴とされています。

痛みを知っているいじめられた子が何故、いじめる側に回っていますのか、何故、早期に SOSがだされないのか、SOSが出されているのに、何故適切な対応がとられないのか、重大な事態となったのに、何故隠蔽されるのか、子どもを巡る環境の 深刻さに、やっとh学校、家庭、社会を子どもの人権保障の観点から変えていくために共通認識、基本理念の共有化と共同して取り組んで行く、局面に立たされ ています。

こうした時に、違和感を覚える決定的なこの文言は、ふさわしいとは思えません。
理由や事情によっては、いじめがゆるされるとか、ヤムを得ないとか、考える人はいないのではないかと思います。
委員会や部会で協議を重ねてきたから、ということを理由に、これだけの指摘や変更を求める意見があっても全く反映されることなく、一字一句変わらずに提案されておられることについては、硬直的な姿勢と受け止めざるをえず、残念です。
もっともっと、日々悪戦苦闘しておられる現場、子どもたちや教員、相談員、医者など広範な関係者の知見を結集すべきと考えます。

次に「第8条 児童等の役割」として、「おもいやりをもちなさい」「支え合いなさい」「いじめのない学校生活を送ることができるようつとめなさい」と努力義務を課している点です。
この文言は本当に必要なのでしょうか。
子ども達が義務を課せられる存在ではなく、安全に安心して市長出来る環境が保障される権利を有する存在です。
いじめの問題では、市が基本方針の中で強調しているように子どもたちが自主的自発的活動の中から、相手を思いやる心、違いを認める心など自然と培われる、こうした人間性、人格形成への支援こそ必要です。
上から目線的なこのような文言を位置づけることはいじめの防止の効果という点でも疑問を感じます。

文教委員会として視察に行っている可児市では、このような子どもへの努力義務を課す条文はありません。
条例前文も子どもにも理解しやすい子どもの権利保障が前面にでているような文章の工夫を感じます。
もっと子どもによりそったものとすべきと思います。
その他、第5条 市立小中学校の責務の中で「あらゆる教育活動を通して豊かな情操と道徳心を培い」と、道徳教育の強調や、第6条 保護者の責務に見られる家庭教育への介入など、法律いじめ防止対策推進法に見られる問題点が本条例でも散見されます。
日本共産党国会議員団は国会で法律について、厳罰化や道徳教育の強化など幾多の問題点を指摘しました。日本弁護士連合会も意見をあげています。

次に反対の理由の二つ目としては条例の制定過程に関わる点です。
この点は、質疑のやりとりの中で、多々示してまいりましたが、委員会提出といいながら委員会の中で全体としての合意が成立していないこと、市民意見の徴 収、反映不十分、無視されていること、この条例の目的からいっても、子ども達はじめ、もっと広範な市民議論が必要ではないか、ということ、教職員、スクー ルカウンセラーや相談機関、医師、PTAなどの声も拾い上げる必要もあるのではないかと思います。
したがって、4月1日施行にこだわる必要なないと思います。
横浜市ではパブコメなども実施し、本市よりも時間をかけて議提議案として検討協議をしてきましたが、市の基本方針が制定され、取り組みが進むことのなかで、推移を見守るということで、条例化についてはとりやめたと聞いています。
本市では、子ども権利条例制定に向けた検討も始まります。この条例との整合性をとる必要もあります。
4月1日施行を優先させた条例のこの内容、この経過のままで、提案されている今回の条例については反対いたします。
以上で討論とします。