本会議最終日、昨日行った一般会計、国保、A&A特会、反対討論です。
録画放映 こちら でもご覧になれます。
日本共産党の松永千賀子です。
会派を代表して、議案第2号令和5年度相模原市一般会計予算、議案第3号令和5年度相模原市国民健康保険事業特別会計予算、議案第8号令和5年度相模原市麻溝台、新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計予算に反対の立場の立場から討論を行います。
本市の予算編成は、令和2年10月に策定した「相模原市行財政構造改革プラン」(以下「改革プラン」と述べます)の長期財政推計に基き編成され、令和3年度は局内予算の19%マイナスシーリングで執行され、令和4年度もその考え方をベースとし、5年度当初予算においても、同じ考え方に立つとしています。
したがって、この新年度予算においても、「改革プラン」との関係なしに評価することはできないと考えるものです。
改革プランと当初予算、決算の各大幅な乖離等、この間の財政運営の在り方も含めて、我が会派は、様々問題提起してまいりました。新年度当初予算に関しても以下の点で賛同しがたく、その理由を順次述べてまいります。
まず、令和3年度から7年間で累計816億円の赤字と、市が議会と市民に説明してきた「改革プラン」での財政見通しが大きく乖離し、大幅な黒字になっている財政をどう有効に活用されているか、という点に問題を感じます。
新年度当初予算において、財政の余裕を背景に、「新規事業及び一部新規事業」が60項目計上されていますが、この中には、市民の要求や議会での議論を一定反映させたものもあり、評価もしております。
高齢者等移動支援事業や、児童相談所整備事業、少子化対策公園改修事業、既存建築物等総合防災対策事業、木質バイオマスボイラー設備事業などが多々挙げられています。
評価できる事業を含んだ当初予算であることは認めるところですが、これまで、「新規事業はおろか、いづれは真に必要なサービスの提供すら困難になる」と市は、市民と議会に繰り返し説明し、強調してきました。
財政に余裕が出てきたと捉えていいのか、代表質問で質しましたところ、市は「改革プランに基づく事務事業の選択と集中などを取り組んだ結果」と答弁されました。
歳出削減の結果との答弁ですが、黒字財政の主な理由は、市税や地方交付税等の想定を超える増加など、歳入面の増加の要因が大きいのではないでしょうか。
この間の剰余金を見ますと、令和元年度は88億円の黒字、2年度は100億円の黒字、令和3年度は約246億円の黒字決算と、大幅な黒字で推移しています。
市は、「当初予算の概要」4年度、5年度も、ともに、剰余金を見込み、一定の財政調整基金の規模を見込んでいます。
こうした財政状況に関し、令和3年度の決算審査意見書では、「財政調整基金の規模について」の指摘や、「公共施設保全等基金や市街地整備基金等」についても、目標額や活用方法を示すことや予算執行状況と合せた積立の考え方を整理し、市民に分かりやすく説明できるように」と取組を求めています。
資金積立基金が1年間で前年度に比べ、約115億6千万円も増えるなどの状況が見られたことからの指摘だと思われます。
こうした黒字財政結果の時、赤字を解消するとした、改革プランにそった、市民サービス削減や公共施設統廃合などを順次実施していく方向性は、市民は納得も同意もできないし、市への信頼を損ねるものとなると考えます。
そもそも、この乖離の状態では、何のために改革プラン策定なのか、目的そのものが問われてきます。再度、改革プランの撤回を求めます。
今回の当初予算に賛同できない理由ですが、税金の活用の仕方です。
こうした余裕のある財政状況の中、市は、今回、公共施設等の使用料、利用料の見直しで、多くが130%上限いっぱいの値上げを提案しています。
今回の提案では、値上げと同時に、子どもの利用に関して、団体利用は値上げで、個人利用については、無料としています。
我が会派は、子どもの利用については、無料にと求めてきましたので、評価いたしますが、団体利用は値上げという点は、理由が明確ではなく、納得も出来ず、子育て支援としても十分とは言えないと考えます。
物価高騰の影響の中で、食料品や電気代など生活必需品の節約をしながらの生活をせざるを得ないときに、身近な公共施設等の使用料・利用料等の値上げを実施することは、市民の状況を鑑みない、市政運営と言わざるを得ません。
市は、利用者減少の影響はないと答えておられますが、後期高齢者の医療費窓口負担が2割になる、年金が連続して減少するなどの状況や、年金で暮らしていけない高齢者の問題など、公民館利用率の高い層での一定の減少への影響を懸念します。
そもそも、公平性を優先すべき公共施設ですから、利用する人と、しない人との公平性を保持する考え方にたつのか、経済的理由で利用を減少せざるを得ない状況を作り出すことなく、まさに今はこの時は、誰もが利用できる料金設定に、目指すべきであり、値上げをすることには、賛同することはできません。
さらに、賛同できない理由として、
今後の大規模事業に活用していく、準備をしていく予算編成となっている点です。
市が市街地整備基金や市債先行償還をして財政の準備をしている方向性は、大規模事業への財政投入が本格的に始まろうとしているからと思われます。事業費担保のために、将来歳出の準備のためです。
リニア中央新幹線の全面開通が大きく遅れることが想定されるなか、橋本駅周辺整備推進事業が進行しています。
区画整理地域内の道路では、リニア駅真上の地上面には、幅員 49メートル、延長670メートルの巨大道路や3本もの道路を駅前に集中させるものとなっています。
また、区画整理区域外の新都市計画道路、大西大通り線は、100名を超える地権者への立ち退きを迫るもので、あまりに急な都市計画決定であり、373通の反対の意見が寄せられ。住民合意がない中で、強行されようとしています
事業費を見ると、区画整理内道路3線で合計207億円、区画整理外道路で241億円、道路関係で、現段階で合計総事業費538億円、市費 330億円です。
これに京王線駅移設事業費が今後加算されることになるようですが、将来の都市像として市民が本当に望むまちづくりなのか、税金投入の巨大さからも市民の支持が得られるとは思えません。
また、同時並行的に進む他の大規模事業では、南区の麻溝台、新磯野第一整備地区区画整理事業がありますが、現時点のこの二つの総事業費合計だけでも、857億円、市負担分542億円です。
資材費高騰や人件費高騰など、などで今後もっと膨らんでくると思われますが、本市においてもこれまでにない、こうした大規模事業のために、市街地整備基金への積み上げや、将来の市財政負担の軽減を図るためにと、市債の先行償還を行う財政運営となり、一方で市民の福祉を削り、大規模事業へ投入していく財政運営の方向には賛同できません。
次に、苦難の今現在を応援し、未来を準備するものになっているか、という予算であるかどうか、という点です。
40年来といわれる物価高のもとの、高齢者、障がい者、中小零細事業者など、市民の苦難に寄り添った支援が求められていますし、今後の教育や保育の分野の人材確保や育成、若者の移住・定住に向けた支援、高齢化対応の公共交通の整備に向けた検討や農林業やエネルギ―分野などの地産地消の仕組みづくりへの準備などに将来に向けた方向性のために有効に活かすことが目指された予算になっているかどうか、です。
まず、地域経済対策について、地域経済の維持と活性化のための中小零細事業者の支援の強化が必要な時ですが、産業支援政策の転換が不十分ではないか、という点です。
本市は企業誘致政策を平成17年度から実施していますが、令和3年度までのSTEP50を活用した投資額累計は約108億円で、これに伴う税収効果は約112億円、差し引き17年間で約4億円の累計税収効果という結果をみると、今後の産業戦略を見直す必要があるのではないでしょうか。
時代を見据え、個人起業家や農林業、エネルギー分野は時代が要請する事業分野になってきますので、製造業にこだわることなく、広く検討を進め、次期計画に反映させることを求めます。
また、我が会派として繰り返し、住宅リフォーム助成制度や店舗リニューアル制度を求めてきました。この制度は地域に仕事を起こすもので、インセンティブとなる市の助成金投入の経済波及効果が極めて高いことも実証されているのですから、地域経済振興、地域内経済循環策として、正面に受け止め、実施に向けた検討を望みます。
そして、将来のために人材確保の仕組みを創設していくことにいまの余裕ある財政を活かすことです。
今議会では、教員と消防、救急隊の分野での定員割れについて、取り上げました。少なくとも、まずは定員割れをなくすことです。あってはならないことです。現場での労働強化、長時間労働は、心身の消耗と疲弊をもたらし、ひいてはやりがい、働き甲斐を減じさせ、公務労働の定着と専門性の向上への障害となり、市民サービスの低下につながることになるとを懸念します。
法律で定められている定数を充足することは当然のことですが、療養休暇で定数に満たない状態が生じることが無いよう、職員を適切に配置できる体制にすることを要請いたします。職員計画も中長期戦略をもって策定していくときであり、改革プランの職員定数や人件費の抑制などの方針は見直すべきと考えます。
そして、令和5年度は。改革プランの上では、第1期最終年度になります。この1年間で検討、決定し、第2期の実施へと進む計画ですが、地方自治の精神で住民の福祉増進の立場をなげすてるものではあってはならないことです。
816億円の赤字を解消すためにと、具体的に歳入、歳出効果額の数字をあげていますが、その中で、57の市単独扶助事業の総計105億円を見直すとしています。
すでに検討期間としている1期中に実施した事業もありますが、対象の福祉サービスを受けている市民にとっては、重大な問題です。市民のいのちや健康、に直接かかわる各事業ですから、大幅な乖離のままで、改革プラン通りに進めていくことがないよう、意見を述べておきます。
次に、地球的規模での時代の要請となってくる、食料自給率を上げる、地産地消を促進するという点です。
新年度の一般会計当初予算総額3286億円の内、農林水産業予算は、9億8200万円で、全体に占める割合、構成比では、約0.3%です。
財源内訳で見ると、一般財源投入は、はわずか7億1800万円です。72万市民の胃袋を少しでも支えていく方向に向かう考え方にたって、予算の在り方を変えるときと考えます。食料の地産地消に貢献する仕組みづくりために抜本的に農林業予算を拡充すべき時です。
更に、公共交通の拡充は待ったなしです。相模原市は市域周辺部に鉄道がるために市内移動も不便、交通費も高くなり、公共交通の充実は高齢者だけでなく、切実な要求となっています。
日本共産党市議団が行ったアンケートでも、各区から多くの声が寄せられ全市域での高い要望であるととらえています。
コミニティバスなどの取組、新設は、本村市長になっても、ほとんど一歩も進んでいません。5年後、10年後を見据え、身近な生活交通、公共交通を市民とともに、前進させることを求めます。
また、私は2012年から、加齢性難聴高齢者への補聴器購入助成を求めてきましたが、10年目の22年度、やっと実施されましたが、2年間のモデル事業となっています。
事業検証については、高齢者団体や関係者との協議も進め、内容を充実させたものとして前進する方向で検討されて、引き続き、事業を推進されるよう要望いたします。
議案第3号国民健康保険事業特別会計予算について
物価高騰の被保険者の影響を踏まえ、税率を増額改定する状況ではないと、財政調整基金を活用して、税率を据えおくことについては、妥当であると評価したいと思います。今の加入者の生活実態や財政の状況を見れば、今年度平均5%の値上げに続き連続値上げを回避したことについて、安堵しています。
国保制度は構造的な問題をもっていますし、国の負担を減らし続け、保険者の市と被保険者の負担がどんどん高くなる構造ですので、今後も強く自治体から国に要望を上げ続けることを求めます。
現行の加入者の実態からみても、我が会派が一貫して要望している均等割の軽減や生活困窮世帯の軽減基準の見直しが急務と考えますが、実施にいたっていません。滞納状況についても代表質問で伺いましたが、加入者が減少する中、滞納世帯は横ばいです。
憲法25条の健康で文化的な生活、安心を市民に保障する状況にはなっていない点は改善されるべきです。
議案第8号 麻溝台、新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計予算について
予算的には事業費が動き始めています。当初、総事業費127億円でしたが、事業変更案では、319億円となり、市負担分は43億円から212億円と約5倍に膨れ上がりました。その税収効果は年間9億円との数字もだされました。
この事業費案は案の段階であり、今後も変動があると思われますが、事業終了は2029年予定とされております。
地権者の皆さんや関係課の職員のご苦労も察するものですが、全市民的には、理解と納得は難しい事業と考えます。
こうした困難な事業は都市計画決定、事業決定など各審議会、市当局だけでなく、決定機関である議会も含めて教訓とすべきあり、2度と再びあってはならないことです。事業変更して前に進むとして、体制も強化して、事業が進展していますが、現時点でも、我が会派としては、賛同はできません。
最後に、市長にかれましては、今岸田政権で進む大軍拡が本市に与える影響について、相模総合補給廠のミサイル司令部の存在やキャンプ座間の米陸軍前方司令部などの軍事拠点の存在が、本市の市民の生命と財産に脅威をもたらす可能性、相手国から攻撃の対象となる危険性をはらむもとの認識をもっていただき、緊張感をもって注視し、国に向けても適切に声をあげていく責任を果たしていただくことを要請いたします。
現行の不平等な日米地位協定の中でも、本市を米軍との協定の中で、本市消防の立入や環境面からの調査を認めるよう、交渉を進めていかれることを求めます。
基地返還については、長い運動として、これまで同様、粘り強く求める運動の先頭に立っていかれることを要望し、以上で討論を終わります。